公開シンポジウム「フロンティアを目指す、サイエンスとアート」

総合工学委員会・機械工学委員会合同フロンティア人工物分科会とは?

宇宙および海洋での活動は、さまざまな極限状態を開発・利用し人類の未来を切り拓くフロンティア分野に属する。これに社会基盤としての新しい航空、船舶システムを含めた航空宇宙・船舶海洋およびそれらに付随する先端的人工物に関する科学技術を「フロンティア人工物」科学技術と定義する。

これらの分野の近年の発達は著しいが、安全性や環境問題に課題を残す航空・船舶等の輸送系分野、理工学および多分野との連携や研究者コミュニティの醸成の点で未成熟な海洋地球観測・探査分野、また国の重要な施策化が要請される地球外フロンティア開拓分野など、課題が多数残されている。さらには科学技術の伝承、若手育成あるいは産業基盤の育成などの点で国・研究機関・科学者コミュニティの連携した努力が必要である。このことに鑑み、横断的、俯瞰的な観点からフロンティア人工物分野の科学技術推進のあり方、社会への貢献および人材育成・教育等の課題を検討し、どうすれば人類の持続性確保に貢献できるかを本分科会で検討する。

開催趣旨 

 サイエンスは、human science, social science, medical science, natural science の広い領域にわたる。一方で、工学や、医療、文学や芸術に共通するキーワードは アート(Art) である。アートは、技量、技巧でありつつも、「Artificial」 という人工物を作ることを意味し、工学(Engineering) を示す面もある。
 フロンティアを、宇宙、深海という狭い範囲での目的地(destination) ではなく、学術が目指すべき、社会・人類の行く末をも含めた広義のフロンティアと位置づけ、サイエンスとアートが、フロンティアを知り、またそこへ到達させるうえで果たす役割を、再確認することを目指す。
 人間、社会、自然に関わる未踏の地であるフロンティアを見据えて、それらが何であるか、またそれらに取組むべき行動を追求することは、いわば学術の果たすべき本質的な責務である。しかるに、昨今の国内外の経済情勢や安全保障情勢は、人工的な手段(アート)を至近距離で展開する傾向を助長し、フロンティアを見失いがちである。
 理学と工学は、フロンティアたる未踏の「自然」の到達領域が何であるか(what)、および未踏の地に至る方法(how) を追求する、密接な関係もつ両輪である。それらは、サイエンスとアート(人工的な技量、技巧) というべき関係にある。これらを追求すべき事由や環境を認識することは、実は、理工学分野(自然科学 第3部)だけの課題ではなく、人文科学、社会科学分野(人間と社会に関わる分野 第1部) においても、同様の構造を持ち、医学・薬学分野(第2部) においても同様であり、双対な構造を構築している。いわば、学術会議全体が取り組んでいる活動の総体であるとも言える。したがって、各々の分野において、追求・推進すべき事由や環境を認識しようとする活動とは、実は、人文社会科学、医学・薬学、自然科学という 各構造での認識を相互に鏡のように映して見ることによって、新たな段階に到達することとも言える。各専門領域に特化したシンポジウムだけでは、この新たな認識の段階に到達することは難しい。
 2011年に、本分科会は、「人類の持続性確保に貢献するフロンティア人工物科学技術の推進」の提言を発信したが、学術会議査読時のコメントとして、人文社会科学面からも推進すべき理由を掲げるべき、との意見を受け、本分科会としては、2017年に発信を計画している提言の改訂版において、これを記述するべく検討を重ねてきたところである。このために、本分科会は、第1部、第2部の会員をも委員として構成しており、これまでも既に、分科会の機能として、「部」を超えた検討を実際に行なってきている。
 本分科会では、今期の活動として、提言改訂に向けて、前回提言に関わるアクションへの回答を得るために、フロンティア人工物ないし理工学(第3部) の範囲を超えて、第1部、第2部の分野をも含んだシンポジウムを開催して、フロンティア人工物分野を人文社会科学面からとらえ、推進すべき立ち位置、環境に関する意見の抽出を行うことを計画し、ここにシンポジウム開催計画を提出するものである。